竹炭で世界的なリンの枯渇に備える

資源としてのリンの現状

生命に欠かせない元素のひとつであるリン。私たちが口にする農産物にも無くてはならない元素です。リンの用途は、成長産業分野として期待される電気自動車や、再生可能エネルギーとして多く活用される太陽光液晶パネルの表面処理剤や半導体の表面処理にも欠かせないものです。その供給元である地球上のリン鉱石の埋蔵量は限られており、リン鉱石はすでに品質の良いものから枯渇が始まっています。世界のリン鉱石埋蔵量の83%が、モロッコ、中国、米国、南アフリカの4カ国に集中し、中国、米国では既にリン資源の枯渇し、米国は1997年にはリン鉱石の輸出を停止。中国のリン鉱石の価格も高騰が始まっています。もし、他国もリン鉱石の輸出を停止した場合、世界中でリンの需給はひっ迫が予想されます。

過剰消費が引き起こす問題

リン鉱山を持たないわが国日本では、世界第8位のリン消費大国であるにも関わらず、その資源は、輸入のみに頼っているのが現状です。足りないだけではなく、消費の現状では、リン資源の大量消費も環境に大きな問題を引き起こしています。農業生産に欠かせない肥料として農地に過剰に投入されたものが、土壌から河川に流れ込むことにより、リン濃度が高くなりすぎシアノバクテリア(藍藻)や藻類が大発生して水面をおおい,酸素不足が原因で魚が死ぬ。という悪循環を引き起こしています。

わが国の外国からの肥料用リン輸入量 年間77万6千トン 輸入金額 288億円(平成20年)
引用元:農林水産省資料

持続可能な解決策

現在の状況を改善して,食糧生産を持続可能にするには,農業廃棄物や屎尿(しにょう)、下水汚泥を、完熟有機堆肥としてリンを再利用することが最も効果的だ。と京都大学名誉教授 松井三郎氏は言う。実際に、その事業を行っている市町村があり、試験的に農場で作物を育てると、大変品質の良い農産物が収穫できている。しかし、循環だけでもやがて枯渇することが予想される。

50年先を見据えリン資源の貯蔵を行う秘策として、国内に数多くみられる放棄竹林の竹を炭化し、竹炭を土中に貯蔵することで、将来のリン枯渇に備えることが可能になる。

また、同時に竹炭を農地土壌へ施用し、難分解性の炭素を土壌に貯留する活動(炭素を土壌に貯留することにより、本来ならば排出されるはずだった CO2の排出量を削減する)は、J-クレジットのCO2を吸収する事業となり、J-クレジット創出者は、資金の受け取りが可能になります。※登録には、プロジェクトの登録、モニタリングの実施が必要条件となります。書類作成の支援も受けられます。

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国が認証するJ-クレジット制度とは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。本制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度が発展的に統合した制度で、国により運営されています。本制度により創出されたクレジットは、低炭素社会実行計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、様々な用途に活用できます。

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