竹炭とは
竹炭(ちくたん、たけすみ)は、竹を人為的に炭化させたもの。主に「燃料炭」として使われる木炭とは違い、竹炭は生活補助機能目的として利用されることが多いため、必然的に商品価値も高くなる。
竹炭の構造
竹炭は小さな孔が無数に存在するハニカム構造。この無数の孔の正体は、根から水分や養分を吸い上げる仮導管が炭化収縮してできたマクロ管とその内壁に存在する更に細かいミクロ管である。このマクロ管とミクロ管はすべて外部に通じている。
目の細かい管を束ねたフィルターのような構造で、このマクロ管とミクロ管の内部表面積は、竹炭1gあたり約300㎡。この無数の孔(微細管フィルター)が、竹炭の特徴ともいえる。また、竹炭は天日干しなどの外部エネルギーが加わると吸着していたものを放出する還元性をもっており、人工的に造られた活性炭との大きな違いはこの還元性にある。
竹炭の超微細孔は、その半径が15–27nmであり、木炭などに比べて小さい。炭化温度によって表面積も大きくなり、竹炭1g中の孔の表面積は、炭化温度200℃で1.7m2、800℃で724.8m2という測定結果が示されている。
竹炭の効果
竹炭の構造の特徴から、以下のような生活補助機能が期待できる。
用 途 | 解 説 |
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調湿 | 多孔質であることから、周囲の空気中水分を吸着し、乾燥時に吐き出す能力をもつ。800–1000℃で焼き上げたものが効果的であるとされている。効果は半永久的といわれる。 |
脱臭 空気浄化 | 細孔の中に様々なにおいの元となる物質を物理吸着するとされている。細孔が塞がってしまう為、吸着能力が発揮される期限がある。以下に吸着する物質、()内に最も適した焼き上げ温度を挙げる。 ・アンモニア (400–500℃)- 汗、尿等に含まれる。 ・ホルムアルデヒド (900–1000℃) – 建材(接着剤・塗料・防腐剤)などに含まれる。 ・ベンゼン (900–1000℃) – 自動車の排気ガス、タバコの煙などに含まれる。 ・トルエン (900–1000℃) – 油性塗料、インキ、ペンキなどに含まれる。 ・インドール (900–1000℃) – 口臭、大便、屁などに含まれる。 ・ノネナール (900–1000℃) – 中高年の特有臭、いわゆる加齢臭。 ※図1~3参照 |
水質浄化 ミネラル放出 | ・料理 水道水に入れることにより、カルキ臭・塩素を吸着する。また竹炭に含まれるカリウム・マグネシウムなどが放出される。飲料水・炊飯や料理の際に使われる。 ・お風呂 木炭がアルカリ性であることから、浴槽のお湯をアルカリ性に変え、温泉と同じような入浴効果が得られます。また、お湯自体の浄化も期待できます。 ・河川・湖沼等 木炭を敷設すると、木炭の吸着効果等により汚濁物質が除去され、水質の浄化が図られます。また、木炭の孔隙に住み着いた微生物による汚濁物質の分解も期待できます。 |
土壌改良 | 含水性を向上、微生物の棲息場所を提供するバイオレメディエーション作用が期待される。浄化等に使った竹炭を再利用することが多い。 ・土壌の透水性、保水性、通気性などを良くし、連作・農薬障害などを改善。 ・土の酸度(ph)を整える。 ・微量要素(水溶性ミネラル)を補給し、植物の成長を助ける。 ・植物の生長の役立つ微生物が増える。 ・土の温度を上げる。 農業における土壌の透水性、保肥性、肥効性の改良、土壌微生物相の活性化などの効果が期待され、多く使われています。地力増進法(昭和59年法第34号)の政令で木炭は土壌改良資材として指定されています。 |
通電性 | 高温で焼き上げたものほど、通電性が高くなる(エジソンが最初に電球を作ったときに用いたのは、日本製の竹フィラメントであった)。このためテスターで電気抵抗を測定する事で焼き上げ温度の推定や、品質基準とする事も出来る。 |
観賞用 | 竹炭はインテリアとしても使われる。竹特有の節が入ったもの、割られておらず筒状のまま炭化されたものなどが使われ、調湿、脱臭、空気浄化の効果を得られるインテリアが人気である。 |
鮮度保持用 | 生鮮野菜やくだものは、収穫直後からエチレンガスを発生し、これが熟成・老化を早める原因にもなります。吸着性のすぐれた木炭を使うと、この生鮮果菜類が自ら発するエチレンガスを吸収し、熟成・老化を遅らせます。 |
空気浄化の補足資料
炭化温度
生活補助機能を目的として使われる竹炭では、焼き上げ温度(炭化温度)によって用途が異なることがあり、重要視される。通常、炭化窯内では場所によって温度に差ができることが多い。炭化温度の低いものは色は黒く、軟質で形が崩れやすい。炭化温度が高くなると硬質化するとともに通電性が高くなる。色は銀色っぽく光り、「キンキン」と金属のような音がする。また炭化の際、800℃以上の高温時に炭を取り出し、灰を掛けて冷却する方法がある。この方法を用いて作られた竹炭を白竹炭という。また、1000℃を超える温度で炭化された竹炭は微細孔が収縮する傾向があり、全般的な吸着性能は下がる。また水質浄化(特に飲料水・炊飯用など)に使用する際、炭化が不十分なものであると竹炭に含まれる炭そのものが崩れて水中に混ざったり不純物が水中に溶出してくる場合もあるため、注意が必要である。